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2019年5月12日日曜日

【書評】『6度目の大絶滅』×『2049 日本がEUに加盟する日』

 

絶滅を引き起こそうとしているのは人間?

コルバートは、現在「6度目の大絶滅」に向かって進行しており、それを引き起こしている張本人は、我々人間であるという。果たして、年々増え続けるこの絶滅種には、人間自身も含まれているのだろうか?
出典:2049 日本がEUに加盟する日 HUMAN3.0の誕生(高城剛 著)


2049 日本がEUに加盟する日 HUMAN3.0の誕生「第3章日本がEUに加盟する日」3-2 2049年以降の世界「HUMAN3.0の誕生」で引用されている科学ジャーナリスト エリザベス・コルバード氏の著書「6度目の大絶滅」をご紹介します。

本書は中米のパナマ共和国で、カエルが次々と姿を消す異変をきっかけにストーリーが展開していきます。六度目の大絶滅を食い止めるための具体的な方法などの記載は特になく、冷静に現状を伝えることに終始しています。

結論としては、次の3点に集約されます。
・過去の生物絶滅の共通点は「環境の変化」
・種が適応できるより早く世界(環境)が変化すると、多くの種が死に絶える
・現在、人類自身が環境(生態系の景観)を変えていることにより、六度目の絶滅が進行中

我々は絶滅したネアンデルタール人の血を引いている

本書を読むと少し暗い気分になりますが、第12章では高城未来研究所のメルマガでも登場する「ネアンデルタール人」についての記載があります。

ー 現生人類(ホモサピエンス)はおよそ四万年前にヨーロッパに現れたが、ネアンデルタール人のいる地域までやって来ると、ネアンデルタール人は姿を消した。

ー ネアンデルタール人を完全に絶滅に追い込む前に、現生人類は彼らと交雑している。

ー アフリカ人以外のヒトは、約3万年前に絶滅したネアンデルタール人のDNAを約1~4%持っている(他に絶滅したデニソワ人のDNAも持っている)。

ー ネアンデルタール人はヨーロッパまたは西アジアで進化し、そこから拡散したが、河川や海その他の障害物があったところで止まったと推測される。

ー ネアンデルタール人は、並外れて強靭な肉体(太い骨)を持っていたとされているが、飛び道具などの高度な道具を作った形跡がない、また芸術的あるいは装飾的な意図をもってつくられたものが、ほとんどない。

「未知のもの(世界)にチャレンジする」「道具を使う(頭を使う)」「美を愛する」「融合する」といった、絶滅した生物と、生き残った生物の違いを見ると、現代を生きる我々にも大きなヒントになりそうです。

なにかを求めてやまない心

「陸地の見えない海に漕ぎ出していったのは、現生人類のみでした。むろん、このための技術が欠かせません。船が必要です。しかし、それ以外にも、なにか狂気じみたものがいると私は思うのです。
だってそうでしょう?イースター島が発見されるまでに、いったいどれほど多くの人が太平洋に漕ぎ出して命を落としたと思いますか。つまり、この行為は常軌を逸しているのです。
なぜ、そんなことをするのでしょう?名誉のため?不死を願って?あるいは好奇心?現在も私たちは火星に行こうとしています。私たちは決して止まることがないのです。」
出典:6度目の大絶滅(エリザベス・コルバード 著)

「なにかを求めてやまない心(狂気)」は、本能的に人類が生き延びるために必要だったものですが、現在その”狂気”が地球環境の変化に繋がっています。人類が「加害者であり被害者でもある」現状に、複雑な思いです。

「狂気」は時に”エゴ”になり、周囲に悪影響をもたらす非常にやっかいなものです。しかし、この「狂気」を他人や自分と上手く調和し、折り合いをつけることができれば、高城さんの著書にも出てくる「変化を受け容れた方がどの時代も生き残る」ことに繋がるのではないかと思いました。


Link:
6度目の大絶滅(エリザベス・コルバード 著)
2049 日本がEUに加盟する日 HUMAN3.0の誕生(高城剛 著)