同じく「日本のEU加盟」を提言した人
日本は生き残りをかけ、EUに入る道を選ぶ
イギリスを含む北米連合+中南米連合、BRICs+α連合、EUと世界は三極化し、日本は孤立する可能性がある。
具体的には2040年を前後して高まるだろう。
かつてイギリスが植民地から去った時のように、日本国内には嫌米機運が高まり(それを背景にした政治家が当選し)、いまさらBRICs+α連合にも入れない日本が進む道は、世界的な孤立(rest of the world)か、地域性を超えた新しい取り組み、すなわちあたらしいEUに加入するか、この二つの道のうち一つを選ぶしかなくなるだろう。
そして、日本はEUに入る道を選ぶ、と僕は予想する。
出典:2049 日本がEUに加盟する日 HUMAN3.0の誕生(高城剛 著)
本のタイトルにある「日本のEU加盟」は、私たちの想像力を掻き立てる非常に興味深いキーワードです。世界の情勢がますます不安定になっていく中、日本にとって様々な可能性を残しておく必要があると感じました。
さらにこのキーワードを掘り下げたところ、高城さんの著書発売の約2年前の2017年に、同じく「日本のEU加盟」を提言した方がいましたので、本をご紹介します。
なぜ日本はEUに加盟すべきなのか?
法政大学法学部教授の水野和夫氏の著書「閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済(2017)」では、資本主義(蒐集による極大化)が約500年ぶりに終焉し、閉じる帝国(地域帝国)と地方政府を軸とする「中世化」を予測しています。経済成長しない定常状態(安定)実現を目指すためには「より近く、よりゆっくり、より寛容に」が必要と提言しています。
本が発売された2017年に読んだときは、頭では理解したものの、あまりピンと来なかったのですが、今読み返すと、ますます世界が本の内容に近づいていることに驚きます。
詳細は本書に譲りますが、水野氏は日本がEUに加盟すべき理由を、資本主義の次の社会(ポスト近代)を模索しているのがEUだからだと言っています。
日本にとっての「閉じた地域帝国」とはどのようなものなのか。
当然対米従属ではありません。アメリカ自身は「アメリカ・ファースト」を唱え、一国主義に回帰しようとしています。
関税を高くし、移民の受け入れを制限して「孤立主義的」な外交政策と、減税と公共投資、そして恫喝まがいの対米投資を迫るなどして成長率を倍に高めようとするのは近代初期の重商主義そのものであって、「新しいシステム」を志向しているとは思えません。
しかし、東アジア共同体という選択肢も、中国が近代化の真っ只中にある以上、現段階では現実味がありません。
そう考えると、日本ができるのは「選択肢が生まれるときに備える」「選択肢ができるように環境を整える」ということだけです。
「では日本はどうすればよいのでしょうか」と問われたときに、「EUに毎年加盟申請をする」と真顔で私が答えるのは、そのためです。
もちろん地理的な環境を考えれば、日本とEUが「閉じた帝国」を形成できるわけではありません。
しかし、現在の世界のなかで、ポスト近代を模索しているのはEUだけです。そのEUとの連携を深めることが、ひいてはポスト近代への準備を整えることになるはずです。
それでも、まだ残されているわずかなチャンスがEU加盟申請です。
出典:閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済(水野和夫 著)
これからの世の中、生き方
「日本のEU加盟」は大胆なアイデアです。こういったアイデアをきっかけにして、我々はこれまでの社会の仕組みを考え直し、再構築する時期に来ているのかもしれません。なぜならば、成熟化を迎えた今の日本の社会が「このままでは、きっと持たない…」とみんな薄々気づいているからです。水野氏が提言する「定常状態」の考え方は、国家だけでなく私たち個人の将来にもヒントになりそうです。水野氏の考えは、高城さんとも共通する点が多いので、もし内容が気になりましたら本をチェックしてみてください。
Link:
閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済(水野和夫 著)