危機の際に裏で何が起きているのか?
ショック・ドクトリン=惨事便乗型資本主義
【 A 】
世界あちこち巡ったご旅行の感想をありがとうございます。
そして、ご意見というよりご不満も理解出来るところです。
世界は、個人的な好き嫌いでは動いておらず、ましてや「正義は金」と考える人が多い現実も、世界の冷静な見方のように思います。
ビル・クリントン政権以降、民主主義を資本主義が上書きしてしたシステムを作り上げてしまいましたから。
ですので、食品に限らず、そのシステムを維持するためだったら、誰を犠牲にしようがなんでもします。
原発惨事みても、明らかじゃないですか。
カナダ人ジャーナリスト、ナオミ・クラインが言うように、米国では911以降、日本では311以降、システムは「ショックドクトリン」によって 、より強固になったのです。
高城未来研究所「Future Report」Vol.308 2017/05/12
新型コロナウイルスの感染拡大の話題で頭が一杯になりやすいですが、このようなときは注意が必要です。
- コロナショック どさくさ紛れに「改憲実験」?毎日新聞 2020年3月9日
白紙に戻したところに新しいシステムを植え付ける試み
カナダ人ジャーナリスト、ナオミ・クライン氏の代表作「ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く」。ショック・ドクトリンとは、「惨事便乗型資本主義=大惨事につけこんで実施される過激な市場原理主義改革」のことです。アメリカのCIAによる尋問手法と重なり、ショック療法により記憶を消去した後に、新しいシステムを植え込もうとする恐ろしい手法が紹介されています。
「現実の、あるいはそう受けとめられた危機のみが真の変革をもたらす」というフリードマン自身の言葉に象徴されるように、シカゴ学派の経済学者たちは、ある社会が政変や自然災害などの「危機」に見舞われ、人々が「ショック」状態に陥ってなんの抵抗もできなくなったときこそが、自分たちの信じる市場原理主義に基づく経済政策を導入するチャンスだと捉え、それを世界各地で実践してきたというのである。
ショック・ドクトリン〈下〉 ナオミ・クライン(著)
ポイントはショック耐性を高めること
歴史、文化そして記憶まで、これまで消されてきたものはもう十分すぎるほどである。この再生のための運動は、白紙(スクラッチ)からではなく、残り物(スクラップ)―つまり、瓦礫や廃品など周りにあるいくらでも転がっているものから始めようという試みだ。
(中略)地域社会に根を張り、ひたすら実質的な改革に取り組むという意味においてのみ急進的(ラディカル)なこれらの人々は、自らを単なる修繕屋とみなし、手に入るものを使って地域社会を手直しし、強化し、平等で住みやすい場所へと作り替えている。そして何にも増して、自らの回復力の増強を図っているー来るべきショックに備えて。
ショック・ドクトリン〈下〉 ナオミ・クライン(著)
書籍は上下巻686ページの大著なので、まずは下の動画でエッセンスを掴むことができます。(時間がない場合は、1.5~2倍速で再生がおすすめ)
世界的な名著にもかかわらず、なぜか現在(2020/03/16)日本語版が書店で在庫切れの状態が続いています。気になりましたら、チェックしてみてください。
※追記(2020/03/20)
3/27に重版出版予定です。
(承前)新型インフルエンザ特措法が可能とする「惨事便乗型改革」や「緊急事態宣言」に私たちはどう備えればよいのでしょう。ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン』は、その未来を見事に「予言」しています。本書は3/27に重版出来予定です。どうぞご期待ください!☞ https://t.co/pyVVr7Hsr4 pic.twitter.com/ih7N8HUIOO— 岩波書店 (@Iwanamishoten) March 12, 2020
Link:
ショック・ドクトリン〈上〉 ナオミ・クライン(著)
ショック・ドクトリン〈下〉 ナオミ・クライン(著)