ドーパミン中毒から脱するために紹介されていた書籍です。
先日の高城剛さんのメルマガ(Vol.624)で紹介されていた書籍です。
著者のジェームズ・W・クレメント氏は弁護士、起業家から転身した異色の生物科学研究者です。著者は人々の健康や長寿を研究する中で、日本人の細胞生物学者 大隈良典氏(2016年にノーベル生理学・医学賞受賞)が分子機構を解明した「オートファジー」に注目するようになりました。
オートファジーは、細胞内で老化した器官を再利用したり、病原菌や有害物質を取り除いたりする、細胞の自己浄化機能のことです。
また、ほぼすべての細胞(血液細胞以外)が持つmTOR《エムトア - Mechanistic Target Of Rapamycin(ラパマイシン機構的標的タンパク質)》と略されるタンパク質複合体の働きが抑制されるとオートファジーが起動します。著者はこのmTOR複合体を「スイッチ」と呼んでいます。
逆にmTORが活性化すると「細胞の成長モード」に入り、極端に期間が長くなると病気にかかりやすくなります。そのため、1年間の中でオートファジーを8カ月「オン」にし、4カ月を「オフ」にするなど、年間を通じて柔軟に考える必要があります。
「スイッチ」をオンにするための具体的な方法は本の後半に記載されています。高城さんの書籍やメルマガが度々出てくるキーワードや内容がたくさん登場するので、高城式健康法の理解をさらに深めるための補足本としておすすめの一冊です。
目次
- はじめに スイッチ
21世紀のパラドックス
私がこの分野にのめり込んだ理由
本書の内容 - 第1章 イースター島と移植患者
見えないものを見る
グルカゴンとインスリン
スイッチの発見
ラパマイシンと老化 - 第2章 ごみ運搬車とリサイクル工場
オートファジーの仕組み
ゲノムの守護者
生きる力を高めるオートファジーの効果
- オートファジーとは
- オートファジーで解明されたこと
オートファジーを無理なく誘導する
オートファジーを定期的に休ませる - 第3章 低身長症と突然変異
ラロン症候群とエクアドル人
遺伝子型と表現型
糖尿病とがんを防ぐ効果
加齢が厄介な問題を起こすとき
エイムズ・ドワーフ・マウスとスネル・ドワーフ・マウス
パフォーマンスと長寿のトレードオフ
体内の「抗加齢物質」を活性化させる方法
タイミングがすべて - 第4章 沖縄、修道士、セブンスデー・アドベンチスト教の人々
カロリー減が長寿をもたらす
1日の食事から簡単に500キロカロリーを減らす方法
修道士のように長く生きる
タンパク質のとりすぎで生じるリスク
牛乳は控える - 第5章 小児てんかんと世界的サイクリスト
アスリートの持久力実験で解き明かされた秘密
ケトジェニック・ダイエットの科学
- ケトーシス状態を導くカロリー計算
- ケトーシスとオートファジー - 第6章 原始人と文明人
人類の進化の歴史
植物と肉を食べる雑食動物としての初期の人類
現生人類
狩猟採集民の寿命
原始人、狩猟採集民の食事
タンパク質の源を追う
「豊かな栄養失調」と遺伝的ミスマッチ
初期の人類の食事に乳製品、穀類、加工糖、植物油、アルコールはなかった
低糖質・高繊維だった原始人の食事
現代人の食事がもたらす危機
旧石器時代に宇宙時代の遺伝子で生きる
砂糖の問題
人類の祖先のゲノムが求める食生活を送る - 第7章 クルミと穀物飼育の牛
脂質の基礎
脂質のパラドックス
オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸
オメガ3脂肪酸の驚くべき効果
地中海式ダイエットの健康的な脂質 - 第8章 クジラ、げっ歯類、喫煙者
ホッキョククジラの知られざる生態
ハダカデバネズミ
喫煙の意外なメリット
毒の力
ゼノファジー「細胞内への侵入者」を食べて退治
逆ホルミシス
最適なバランス - 第9章 血液検査と食品リスト
血液検査
「スイッチ・ライフスタイル」10の実践ポイント
「スイッチ」をオンにする
ライフスタイル
年間スケジュールの例
食品リスト
ケトーシス状態に入る方法
まとめ
薬とサプリメント
運動でオートファジーをさらに活性化
睡眠とストレス軽減 - おわりに 健康で豊かな人生を楽しむために
10歳以上の超長寿者(スーパーセンテナリアン)からのアドバイス
大隈良典氏(2016年ノーベル生理学・医学賞受賞)が国立基礎生物学研究所にラボを立ち上げた時に助教授として参加。オートファジー研究の第一人者 吉森保氏の書籍