「モノ(所有)」から「コト(体験)」に移行したことによって起きた新たな問題です。
先日の高城剛さんのメルマガ(Vol.626, 627, 628, 629, 633, 635)など複数回にわたり「オーバーツーリズムの問題」について紹介されていました。
観光客があまりにも増えすぎてしまったために、地元・地域の人たちや環境に負荷等がかかってしまう観光公害=オーバーツーリズムが世界各地で問題になっています。
今回ご紹介する「オーバーツーリズム」は株式会社日本総合研究所調査部主任研究員の高坂晶子氏による著書です。国内外の各地域ごとにオーバーツーリズムの事例と対策が紹介されていて、俯瞰的に現状を理解することができます。
現状は決定的な対応策がありません。そのため個々で対応策がとられており、入場制限・規制、高額な入場料・手数料、罰金・罰則などを設けるようになってきています。今後、観光(旅行)は様々な制限や規制の元に行くことになるかもしれません。
「旅行者の満足」と「地域の利益」を両立することができるスキル・人材が求められています。
目次
- はじめに
- Ⅰ オーバーツーリズムとは
- 1章 訪日外国人観光客の急増とその背景
- 1 世界で爆発的に増える旅行客
- 2 成長著しい日本のインバウンド市場
- 3 アウトバンドからインバウンドへ、政策の転換
- 4 観光の効用
- 2章 オーバーツーリズムの影響
- 1 オーバーツーリズムの定義
- 2 オーバーツーリズムと持続可能な観光の違い
- 3 オーバーツーリズムで何が起きているのか
- 4 オーバーツーリズムによるダメージ
- 3章 オーバーツーリズムのタイプと対策
- 1 オーバーツーリズムの発生地のタイプ
- 2 オーバーツーリズム対応の具体的手法
- 3 決定打のないオーバーツーリズム対応
- Ⅱ 国内外のオーバーツーリズムの事例と対策
- 4章 海外のオーバーツーリズム
- <1>人気観光拠点型
- 1 スペイン・バルセロナ市 観光開発規制に取り組む世界的モデル
- 2 アメリか・ハワイ州 住民・観光客を巻き込む「責任ある観光」の推進
- <2>リゾート型
- 1 タイ・ピピレイ島、フィリピン・ボカライ島 島の地理的条件を活かした入域規制
- 2 スイス・ツェルマット村 カーフリーの観光スタイルを広めるアルプスの村
- <3>稀少資源型
- 1 エクアドル・ガラパゴス諸島 環境保護と島民の生活の共存
- 2 ネパール・ヒマラヤ山脈 商業登山への対応に悩む世界の屋根
- 5章 国内のオーバーツーリズム
- <1>人気観光拠点型
- 1 京都府京都市 量より質をめざす施策にシフト
- 2 神奈川県鎌倉市 交通機関の混雑解消に挑む
- <2>リゾート型
- 1 沖縄県恩納村 漁業と観光業の共存
- <3>稀少資源型
- 1 富士山 世界遺産の保全と観光利用の両立
- Ⅲ 新たなオーバーツーリズムとその対策
- 6章 ソーシャル・メディアが生む次世代オーバーツーリズム
- 1 無名のスポットが突然ブレイクする現象
- 2 観光客が突然押し寄せる要因
- 3 受け入れ態勢の未整備
- 4 北海道美瑛町 観光客と農家のWin-Winの関係づくり
- 7章 ICT、AIを活用したブレークスルー
- 1 新技術の活用と効果
- 2 自治体等による新技術の活用事例
- 8章 レスポンシブル・ツーリズム(責任ある観光)
- 1 レスポンシブル・ツーリズムとは
- 2 パラオ共和国 観光客が自発的に環境保全にコミットするしくみ
- 3 ニッチな業界から観光の本流に向かうサスティナブル・トラベル
- 4 地域住民の観光受容力を高める
- 9章 オーバーツーリズムへの向きあい方
- 1 危機管理としてのオーバーツーリズム対応
- 2 関係主体間でWin-Winの関係を構築
- 3 持続可能な地域観光のあり方を共有
- おわりに